株式会社プレジデント社
2026/1/5 04:29
あの人しか分からない”から、“誰でも回せる情シス”へ
業務自動化・API連携 (iPaaS)
セキュリティ・ガバナンス
Outline
プロジェクト概要
200人規模企業で、属人化を解消して「止まらない運用」を作った話
200人規模の企業において、1名の情シス担当者に業務・判断・ノウハウが集中していた属人化状態を解消するためのプロジェクトです。
引き継ぎの徹底とシステム運用の可視化を起点に、技術的な解析によってブラックボックス化していた業務を整理。
さらにAIおよびGoogle Apps Scriptを活用し、属人化していた作業を仕組み化・省力化することで、「特定の人がいなくても回る情シス体制」を構築しました。
Background
解決したい課題
引き継ぎの徹底、技術力による解析の徹底、BPO / システムで省力化
属人化解消は「気合いのドキュメント作り」では続きません。今回は、次の3点に絞って進めました。
引き継ぎの徹底(見える化・分解・標準化)
技術力による解析(ブラックボックスの棚卸し)
BPO / システムで省力化(属人作業を仕組みに置換)
Approach
ご提案の内容

200人規模企業で、属人化を解消して「止まらない運用」を作った話
社員約200名の当社では、情シス(情報システム)の実務を1名の担当者が担っていました。社内インフラ、SaaS管理、アカウント運用、問い合わせ対応、軽微な開発まで——いわゆる「何でも屋」として現場を支えてくれていた一方で、ある問題がじわじわと深刻化していました。
それは、システムの“肝”がその担当者の頭の中にしかないこと。
「この設定、なぜこうなっているのか分からない」
「障害が起きたら、まずその人に電話」
「棚卸しや権限整理のタイミングは、毎回その人の記憶頼り」
このまま担当者が退職・長期離脱した場合、業務が止まるのではないか。経営側も現場側も、同じ不安を抱えていました。
課題:属人化は“能力の高さ”が作ってしまう
今回の属人化は、単にドキュメントが不足していた…というだけではありませんでした。担当者の技術力が高く、最適解を素早く出せるからこそ、
イレギュラー対応がその場で片付く
手順が「その人のやり方」で積み上がる
改善も個人のスクリプト・工夫に閉じる
結果として、会社にとって重要な運用が「再現できない仕事」になっていました。
取り組みの全体像:やったのは3つだけ
属人化解消は「気合いのドキュメント作り」では続きません。今回は、次の3点に絞って進めました。
引き継ぎの徹底(見える化・分解・標準化)
技術力による解析(ブラックボックスの棚卸し)
BPO / システムで省力化(属人作業を仕組みに置換)
1) 引き継ぎの徹底:まず“仕事を部品化”した
最初にやったのは、「情シスの仕事」を丸ごと引き継ぐのではなく、部品に分解することでした。
定常業務(アカウント発行、権限付与、端末手配、棚卸し)
月次・年次(監査対応、ライセンス更新、台帳更新)
問い合わせ(PC不調、VPN、権限、SaaSログイン等)
障害・緊急対応(一次切り分け〜復旧)
それぞれを「誰が見ても同じ判断ができる形」に落とし込むために、手順を次のテンプレで統一しました。
目的(何のためにやるか)
入力(何がトリガーか)
判断基準(分岐条件)
操作手順(最短で終わる順番)
完了条件(何ができたら終了か)
例外時のエスカレーション(誰に、何を、どこまで)
結果、引き継ぎが「この画面見て、こうやって…」ではなく、誰でも再現できる運用に変わり始めました。
2) 技術力による解析:ブラックボックスを“地図化”する
次に、属人化の根本である「システムの肝」を解析しました。ポイントは、感覚ではなく、構造として理解できる状態にすること。
どのSaaSが何の業務に使われているか
どのアカウント/権限が重要か
どの設定変更が事故につながるか
どこが“触ると壊れる領域”か
これを、構成図・権限体系・運用フローとして整理し、重要度(止まる・遅れる・困る)で優先順位を付けました。
ここで大きかったのは、属人化の正体が「全部が難しい」ではなく、“数個の急所”が難しいだけだと分かったことです。急所を特定できると、対策は急に現実的になります。
3) BPO / システムで省力化:属人作業を“仕組み”へ移した
最後に、担当者だけが回せていた作業を、自動化・半自動化しました。特に効果が大きかったのは以下です。
Google Apps Script:定型運用を自動化
さらに、Google Workspace周りの定型処理をGAS(Google Apps Script)で省力化しました。
例:
入社・異動・退職に伴うアカウント処理の一部自動化
権限付与の申請情報をスプレッドシート起点で整理し、作業漏れを防止
棚卸し用の一覧生成、差分チェックの自動化
手作業で作っていた報告用データの生成
「その人が速いから回っていた作業」を、人が速くなくても回る仕組みに変える。ここが属人化解消の決定打になりました。
結果:不安が“構造的に消えた”
施策後、目に見えて変わったのは次の3点です。
退職・離脱リスクが現実的に下がった
急所が可視化され、手順と判断基準が共有されたため
対応が早くなり、品質が安定した
AIで初動が標準化され、GASで定型が減ったため
情シス担当者の負荷が下がり、改善に時間が使えるようになった
「回すだけ」から「仕組みを育てる」側に寄せられた
属人化は、誰かのせいではなく、成長過程で自然に発生します。だからこそ、気合いではなく、再現性のある運用として設計し直すのが最短でした。
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